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2022/10/06 医療法務

クリニックの法務と個人情報保護法その1:目的~個人情報の有用性の配慮と個人の権利利益の保護~

みなさん、こんにちは。

このブログでは、民事、刑事、家事、労働、企業法務、医療法務etc.さまざまな法律問題について、やさしく解説していきたいと思っています。

 

第1弾は医療法務から。「クリニックの法務と個人情報保護法」です。

さて、「個人情報」と聞いて、みなさんはどのようなイメージを持たれますか?

例えば、医療関係者ならば、健康保険証やカルテなどを思い浮かべるかもしれません。

あるいは、個人情報の漏えいやプライバシーの侵害といった負の側面を連想されるかもしれません。

確かに、いったん個人情報が漏えいされ、プライバシーが他人の知るところになってしまうと、これを回復させる(知られていない状態に戻す)ことは容易ではありません。

他方で、例えば診療録が健康保険証の番号で紐づけされれば、保険診療報酬請求を簡便に行うことができますし、カルテを参照しながら紹介状を作成できれば医療機関同士の情報提供がスムーズになります。

個人情報の利用を全面的に禁止してしまうと、国民生活にとって不便になることは間違いなさそうです。

 

このように、豊かな国民生活の実現に資する「個人情報の有用性」に配慮しつつ、プライバシーなどの「個人の権利利益」を保護するために作られた法律が、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)です

 

では、「個人情報の有用性」と「個人の権利利益」は、具体的にどうやってバランスを取れば良いのでしょうか?

実は、「個人情報の有用性」と「個人の権利利益」の具体的なバランスのとり方を規定しているのが、個人情報保護法です。

これから何回かに分けて、個人情報の取扱いで悩まれているクリニックの関係者を対象に、最低限知っておいて欲しい「バランスのとり方」のお話をしていければ、と思います。

次回は、「個人情報?要配慮個人情報?個人データ?保有個人データ?」と題して、個人情報保護法で定義される用語の説明を分かりやすくしていきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いください!